今週はスプリングSがあります。皐月賞トライアルといえばやっぱりあの馬です。オールドファンならわかってくれるはずですが、その馬とは昭和62年の勝ち馬である、マティリアルです。
マティリアルの衝撃
あの時、私はまだ小学校低学年でして、あのレースを昼間見た私は興奮して、夜も眠れずそのまま深夜の『中央競馬ダイジェスト』まで見てしまいました。あれだけの衝撃は、その後ライデンリーダーの桜花賞トライアルまでなかったですね。
信じられない位置からの後方一気。マティリアルは一番人気で、道中は行きっぷりが悪くて、4コーナーではブービーでノーチャンスな感じでした。縦長の展開のブービーでしたからね。今考えると前がばったり止まったレースではあったんだと思いますが、最後突然ゴール前にマティリアルと岡部幸雄はテレビの画面に現れました。実況の大川さんも、ゴール前までまったくマティリアルをフォローしてませんでしたからね。びっくりしてました。レース後は完全に、スターホース誕生みたいな雰囲気でした。
マティリアルと昭和62年
その後のマティリアルは、このスプリングSの重荷を背負い込むようなレースで、後方一気で差せないレースばかり。皐月賞は3着だったものの、その後はG3級のオープン馬っぽくなって、最後の京王杯オータムハンデ(当時は京王)で久々の勝利を果たしますが、ゴール後故障して天国に旅立ちます。最後のレースはその重荷を下ろすように好位からのレースで勝ちました。なんだか運命を感じますね。
あの年のクラシックはサクラスターオーも悲劇がありましたし、メリーナイスやゴールドシチーはグッドルッキングホースで、記録よりも記憶に残るような馬が多かったですね。ホクトヘリオスなんかもいました。ダービー2着のサニースワローからのサニーブライアンへの流れなんか、競馬の面白さを感じます。ダービーの菅原・アドバンスモアの大逃げ…24頭立て24番枠24番人気24着とか、ネタも充実してます。スターオーの「菊の季節に桜が満開」、そして年の最後に、関西から現れた白い稲妻2世・タマモクロス。大井にはイナリワン。ドラマに溢れた昭和62年の序章が、まさにあの衝撃的なスプリングSだったのかもしれません。
でも、やっぱり私にとってのあの年の主役は、マティリアルで間違いなかったですね。マティリアルがレースに出るだけでドキドキでしたもん。「またあれを見せてくれるんじゃないか」みたいな。毎年スプリングSになると思い出しますね。