今週はいよいよ日本ダービー。毎年思いますが、このレースは日本競馬最大のレースであることはもちろんですが、非常に特殊なレースだなといつも私は感じています。『前近代的なレース』と言いますか。なぜ特殊で前近代的なのか、この10年間のダービーの勝ち馬を見てみるとわかりやすいです。
過去10年のダービー馬
2020 | コントレイル | 2:24.1 | 1人 | 福永祐一 | |
2019 | ロジャーバローズ | 2:22.6 | 12人 | 浜中俊 | |
2018 | ワグネリアン | 2:23.6 | 5人 | 福永祐一 | |
2017 | レイデオロ | 2:26.9 | 2人 | C.ルメール | オールカマー・天皇賞(秋) |
2016 | マカヒキ | 2:24.0 | 3人 | 川田将雅 | |
2015 | ドゥラメンテ | 2:23.2 | 1人 | M.デムーロ | 中山記念 |
2014 | ワンアンドオンリー | 2:24.6 | 3人 | 横山典弘 | |
2013 | キズナ | 2:24.3 | 1人 | 武豊 | 大阪杯(G2) |
2012 | ディープブリランテ | 2:23.8 | 3人 | 岩田康誠 | |
2011 | オルフェーヴル | 2:30.5 | 1人 | 池添謙一 | 有馬記念2回、宝塚記念、フォワ賞2回、大阪杯(G2) |
よく話題になりますが、近年はダービー馬がその後あまり勝てないケースが多いです。上の表の右側に、ダービー馬が古馬と混じって以降勝利したレースを書きましたが、10頭中6頭が古馬戦未勝利。ドゥラメンテやキズナもG2・1勝のみとなっています。
なぜダービー馬がその後勝てないか、ということを考えた時、これは単なる偶然ではなく、ダービーというレースの特殊性から来るものだと思ってます。一番このレースが他のレースと違うのが、スローペースになりにくいこと。最近の競馬は折り合い重視で、後半の切れ味が勝負に大きく影響しますが、このダービーに関しては、東京の2400という過酷なレースにも関わらず、直線半ばまで脚をためるような展開にはなかなかならないです。
やはりダービーという夢の舞台、ジョッキーたちも一発を狙いたい部分があるのでしょう。どの馬も積極的にレースをしがち。その結果途中のラップが落ちずに、この時期の3歳馬にとっては厳しい消耗戦となってしまうのです。
そうなると求められる要素は、近代競馬のような決め手勝負でなく、昭和のG1のような持久力。現在のG1の中で、こういった持久力が求められるようなレースはダービーだけだと私は思ってます。距離の長い天皇賞(春)や菊花賞でさえ、ペースのアップダウンや駆け引きがあって決め手が必要ですが、ダービーに関しては不要とは言いませんが、それ以上に持久力が勝負。そんな消耗戦のG1を勝つような馬がその後のG1に出ても、決め手勝負で負けてしまいやすい、というのが要因ではないかなと思います。同時に、どの馬も最高潮の仕上げで望みますし、過酷なレースを勝ったあとの反動が大きいという点もあるでしょう。
伏兵のダービー好走タイプは?
ダービーのそんな特殊性は、勝ち馬だけでなく伏兵の台頭にも大きく影響していると思います。以下にこれまでダービーで低人気で馬券に絡んだ馬を並べてみました。
2020 | 3着 | ⑥ヴェルトライゼンデ | 10番人気 |
2019 | 1着 | ①ロジャーバローズ | 12番人気 |
2018 | 3着 | ⑦コズミックフォース | 16番人気 |
2014 | 3着 | ③マイネルフロスト | 12番人気 |
2013 | 3着 | ④アポロソニック | 8番人気 |
2012 | 3着 | ⑭トーセンホマレボシ | 7番人気 |
2011 | 2着 | ①ウインバリアシオン | 10番人気 |
2011 | 3着 | ⑦ベルシャザール | 8番人気 |
共通点を探すと、まずハイペースで先行して粘ったトーセンホマレボシ以外は、やはり内めの枠。穴馬が好走したいなら内でロスなく運びたいです。そしてどの馬も道中7~8番手以内からの競馬。持久力戦と言っても、後方で脚をためる競馬だと、力で劣る馬では最後脚色が前と一緒になってしまうのでしょう。いいポジションは必要です。さらにベルシャザールやコズミックフォースなどはその後ダート馬になっていますし、アポロソニックもマル外。切れよりパワー、他の有力馬が崩れたところに繰り上がって粘りこむ展開が、伏兵台頭のケースかもしれません。
まとめ
ということでダービー最大のポイントは持久力。馬券を検討する際は、先行・好位でしぶとく脚を使えそうな馬、そして内枠を引いた馬を選んでみたいです。現時点で一番気になっているのはタイトルホルダー。内枠に入ればしぶといはず。無敗の皐月賞馬・エフフォーリアもエピファネイアの子供ですから持久力もあるはず。あとは極端な外枠さえ引かなければというところ。大穴ならプリンシパルS勝ちのバジオウ。血統的に、ルーラーシップ×ダンシングキイ系なら持久型。あとは内枠を引けたならコズミックフォースの再現もあるかも。ビュンと末脚が切れるタイプの馬はちょっと敬遠したいレースです。