雪は止んだ…昭和61年・フレッシュボイスの毎日杯。

雪は止んだ…昭和61年・フレッシュボイスの毎日杯。

今週はG1・高松宮記念の他、日経賞と毎日杯、さらにマーチSも行われます。どの昔話をしようかと思いましたが、毎日杯にしました。

 

毎日杯と言えば、昔は皐月賞に向けての関西最終便という感じで、最近ではここからマイルカップ、ダービーと駒を進める馬も多い出世レースです。古くはオグリキャップも勝ちましたし、その後はテイエムオペラオーにクロフネ、キングカメハメハ、ディープスカイ、キズナ、アルアイン…かなり素晴らしいラインナップです。

 

そんな毎日杯勝ち馬の中で、グレード制が導入されて以降で初めてのG1勝ち馬となった馬が、フレッシュボイスです。昭和61年の毎日杯、あの「雪が止んだ」毎日杯の勝ち馬です。

 

関東の競馬ファンにとっての当時の毎日杯

関東の競馬ファンである私にとって、毎日杯は当時全国発売のレースでもなく、競馬新聞にも小さく枠順が載るか載らないかで、映像をフジテレビの中継で見るだけでした。「へー、関西にはこういう馬がいるんだ」って感じで、皐月賞に向けての情報収集的な観戦だったわけです。

 

そんな状況で見た毎日杯。雪が舞う阪神の大外を道中最後方から突き抜けたのがフレッシュボイス。これでシンザン記念から連勝。実況の杉本清アナが突き抜けるフレッシュボイスの姿に、「こんなに強かったのか!」と叫んだあと、ゴールの直前に言います。「雪は止んだ!フレッシュボイス!」

 

東高西低

当時のクラシック勢力分布図と言うと、例年関東が優勢で、関西勢はなかなか通用しないことが多かったです。なので関西から連勝したり、強い勝ち方をする馬が現れると、決まって「西の秘密兵器」なんて言われたもんです。あくまで「秘密」…主役ではないです。

 

おまけに全国発売が一部の大レースだけに限られていたし、遠征もそれほど活発に行われてませんでしたから、関東関西間で情報はそれほどありませんでした。それが故に当時は、東VS西という対決構図が今より遥かに強かったです。関西勢としては、なんとか関西から名馬を出したいという気持ちだったでしょう。

 

そんな背景から、あの「雪は止んだ!」というフレーズが、とっさに杉本さんの口から出たようです。シンザン記念や毎日杯という関西のクラシック路線の勝ち馬から長くクラシックホースが出ていない状況を、このフレッシュボイスが止めてくれるかもしれない、「長かった冬の時代を終わらせてくれるかもしれない」という期待の意味だったようです。

 

皐月賞

その後、フレッシュボイスは皐月賞に挑戦。またも外から豪快に追い込みますが、ダイナコスモスをとらえきれず2着。脚質的にもダービー向きの馬ではありましたが、その後ケガで戦線離脱。G1を勝ったのは、古馬になってからの昭和62年・安田記念となりました。このレースも重い馬場の超大外からの強襲で、人気の単枠指定、ニッポーテイオーを強脚で差しきります。実況の大川アナの、「大外フレッシュボイス!大外です!!」が頭に残ります。フレッシュボイスが勝つレースはどれも気持ちのいい差し切りで印象的ですね。

 

西の時代へ

結局G1勝ちはこの1回に終わりますが、その後も息の長い活躍で、それから2年後の平成元年・宝塚記念で、人気薄ながらイナリワンを追い詰めての2着もありました。若き武豊・イナリワンと松永幹・フレッシュボイスの戦い。このあたりから、東高西低の構図は一気に崩れ、いよいよ西高東低の時代がはじまります。時代は平成。オグリキャップ、スーパークリークの時代。大衆を巻き込んで競馬が動きはじめる直前に、劣勢の関西が生んだとっておきの馬が、フレッシュボイスだったのです。